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ITCコラム

第6回 価値創造型プロジェクトマネジメント

(財)北海道科学技術総合振興センター IT推進室長
PMCC認定PMS/ITコーディネータ 宮 崎 雅 年
 ITを導入すれば何とかなるだろう。そんな考えをお持ちのあなた、そのまま放っておくと大変なことになりますよ。
 IT導入を成功裡に終了させるためにプロジェクトマネジメントは必要です。でも、何をプロジェクトと捉え、誰が何をマネジメントすれば良いのでしょうか。
大規模な建設工事ではプロジェクトマネジメントが適用され、その様子がテレビ番組でも紹介されているのはご存知だと思います。
建設工事では、建物や設備、施設の建設をプロジェクトと捉え、品質、納期、コストをマネジメントしています。建設工事を受注した側は、これで良いでしょう。でも、建設工事を発注した側は、これだけで良いでしょうか。
建設費を「投資」して出来上がった建物や設備、施設は、維持していくために様々な「コスト」が掛かります。出来上がった建物や設備、施設が生み出す「価値」が「投資」+「コスト」に満たないならば、建物や設備、施設の持ち主(建設工事を発注した側)にとって、負債を抱え込んだことになってしまいます。
 プロジェクトの成果を「価値」と捉え、下記の視点で何を獲得できるのか、事前に検討することが必要です。
  1.資産価値:プロジェクトが生み出した資産
  2.イノベーション価値:資産が生み出す新しい利益
  3.調和価値:外部のステークホルダーの利害関係を調整し、享受することができる波及効果
 企業の設備投資などでは、「投資」に対する「価値」が議論されてプロジェクト実施の可否が決定されます。しかし、IT導入では「投資」に対する「価値」が不明確なまま、議論されることなくプロジェクト実施の可否が決定されている場合が多いようです。
IT導入に要する費用は「コスト」ではなく「投資」です。IT導入によって獲得した資産(情報システム)が「価値」を生み出さなければ、ITを導入した側にとってIT不良資産を抱え込むことになってしまいます。
IT導入を受注した側(ITベンダーなど)は品質、納期、コストをマネジメントしています。一方、ITを導入する側は、IT不良資産を抱え込まないようにすることをマネジメントしなくてはなりません。
 プロジェクトには、以下の3つの属性があります。
  1.個別性:類似性はあるが二つとして同じものがない
  2.有期性:明確な「始まり」と「終わり」がある
  3.不確実性:未知の情報、未確定な技術、予測不可能な環境などのリスクがある
 IT導入に限らず、あなたが実施しなくてはならないプロジェクトは、あなたの経営戦略(問題点や課題とその解決策)によって異なりますので、他のプロジェクトは参考になりますが、そのまま適用することは難しいでしょう。
企業経営をマラソンに例えると、IT導入はゴール(目的)ではなく通過点(手段・方法)です。
プロジェクトが「価値」を創造できる「仕組み」を考え、「仕組み」を実現できるようにマネジメントするのが、これからのプロジェクトマネジメントの姿だと思います。
最初に問題点や課題を解決する「仕組み」を明確にし、「仕組み」が効果的に実現されるようなIT導入を支援するのがITコーディネーターです。
価値創造型プロジェクトマネジメントで、経営戦略を実現するために効果的なIT導入を進めようではありませんか。
   ITベンダーから勧められるままにITを導入していませんか。
   他社が導入したという理由だけで導入したITはありませんか。
   導入したけれど使われていないITがありませんか。
   そのまま放っておくと大変なことになりますよ。
 
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