

■第1回 [IT随想] ITレテラシー
中小企業診断士/ITコーディネータ 黒 田 英 雄
わが国における企業数は約470万、その中の99%以上が中小企業です。数からみても中小企業の盛衰により、日本の経済への影響が大きいことがうかがえます。このうち年間で創業するのは15万件。ところが残念なことに、事業をやめる廃業者の方がはるかに多く22万件もあります。まさに「創業は易く継続は難し」を如実に表しています。
事業を始めようとする者や、継続的に経営を進める者にとって、事業上で必要な検討要素は昔ながらの「人」、「もの」、「金」を中心にいろいろとあります。
事業計画
・事業構想と将来展望のイメージづくり
・技術やノウハウの確保・店舗(事業所)確保
・資金調達と返済計画・仕入れルート確保
・マーケット分析と販売計画・利益計画
・組織体制と従業員確保・資金繰り
・IT利用の取り組み
特に最近はITに関するノウハウも経営に大きく影響する重要な要素となっています。
日常的な業務においても、事務処理で使うワープロや表計算、取引先と連絡する電子メール、情報検索のためのインターネット等、利用範囲の幅が次第に広がってきています。
廃業が多いことの要因のひとつにはIT活用に遅れをとったことがあるかもしれません。
最近、経営相談業務で対応した創業者の事例を見ると、IT化についての認識やリテラシーについては、およそ三つのグループに分かれるのでないかと分析しています。
第1グループは「IT化の必要性については漠然とした認識しかなく、これから勉強しながら事業を進めたい」という者。これは50歳代以上の年齢層で、これまでパソコンにも縁の薄かった世代です。専業主婦からの創業者も、これに近い状況です。
第2グループは「日常的なパソコン操作はできるので、とりあえずこれで対応しよう」とする者。およそ40歳代以下の年齢層で、業種によらず、ほとんどの人が「ワープロや電子メールはそれなりにできる」と言います。小売業、飲食業や運送業ばかりでなく、医者でも同様なのは、「パソコンが幅広い世代に浸透してきている」ことと実感できます。
第3グループは「初めからIT、特にインターネットを戦略的に活用していこう」とする者です。これはIT系の企業からスピンアウトした者や流通業でインターネット通信販売を計画しているケースであり、かなり高いレベルのITノウハウを有しています。
こんな状況を見ていると、その昔、自分が病院システムの設計に取り組んでいたときのことを思い出します。もっとも大きな課題だったのは、医事業務の複雑さでもなく、看護業務の難しさでもなく、「医療関係者(特に医師)にいかにしてキーボードを打たせるか」ということでした。それが今では、開業を目指す医師(特に若手の方)がパソコンに向かい、データ入力を楽々と自分で行うようになってきているのを見ると隔世の感がします。
IT化の推進にあたっては業種という枠ばかりではなく、年齢や環境による影響が大きいことに着眼して、顧客のITレベルを見極めることが極めて重要に思われます。
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